愛かわらずな毎日が。

「給湯室の隅でさ、ちょっとだけ背中を丸めて。なにやらコソコソしてたんだ。
彼女、何してたと思う?」


「……さぁね」


「ククッ。食べてたんだよ」


「え?」


「チョコレート。しかも、板チョコ」


「………は?」


「ポリポリと、」


「……………」


あの姿は、まさしく。


「小動物みたいだったよ。ほら。リスとかハムスターがさ、ケージの隅で両手でエサを持って。
もぐもぐと、一点を見つめて一心不乱に食べてるところ。あんなカンジでさ。かわいかったなぁ」


何を言い出すかと思えば、というような顔で俺の話を聞いていた福元が。


「…………ふっ」、と。


目を細めて笑った。

口角を上げて笑った。


福元は、記憶している間宮さんの姿を集めて創り出したんだ。

小動物のように可愛らしく板チョコを食べている間宮さんの姿を。


そんな間宮さんを想像して、愛おしいという想いを膨らませていることだろう。

でも。


想像してるだけじゃダメだ。

触れなくちゃ。

ちゃんと、自分だけのものにしなくちゃ。


「間宮さんてさぁ、すっごい美人、ってわけじゃないんだけど。なんだろうね。雰囲気がある、とでもいうのかな。たまに見入っちゃうときがあるんだ。
俺の周りにも、間宮さんみたいな子がタイプだっていうヤツ、結構いるんだよ」


そう。

おまえとかね。

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