愛かわらずな毎日が。

『連絡できなくてごめん。今、どこ?』

福元さんから電話がかかってきたのは、メールを送信してから30分ほどしてからで。

『じゃあ、そのまま会社にいて。今から戻るよ』

そう言われてからは既に1時間が経過していた。


更衣室の時計は20時を回っている。


「…………パキッ、………ポリポリ、」

ひんやりとした床にペタンと座り、ロッカーの中に保管してあったチョコレート菓子を黙々と口に運ぶ。

チクチクと痛む胃はそれを欲してはいなかったけれど、ゴクンとのみ込む。

その繰り返し。


こんなとき、「食べる気になれない」なんて言う人がいるけれど。


私は違う。

こんなときだからこそ、何でもかんでも詰め込んでしまう。

次から次へと湧いてくる不安に栓をするように詰め込んでしまうんだ。


「…パキッ、……ぐすっ、……ポリ、……ポリ、………ぐすっ、」


付き合って約三ヶ月。

デートらしいデートは、数えるほどしかしていない。

それでも私は、一緒にいられることに喜びを感じたし。

これからもずっと一緒にいたいと思った。


福元さんは違ったのだろうか。

見合い話を保留にしておく原因を、私の中に見つけてしまったのだろうか。


「お見合いなんて、しないよね……?」


福元さんを信じる。信じてる。

けど。


やわらかな表情も、笑顔も。

私の名前を呼ぶ、優しい声も。

視線も、指も。

福元さんのぜんぶを手放すことになるかもしれない。


その可能性は、ゼロじゃない。


逃げずに確かめなくちゃ。


だから。

「はやく……、戻ってきて」

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