愛かわらずな毎日が。
目の奥がジンジンと熱い。
ドクン、ドクンと脈打つ心臓が握りつぶされたように痛い。
福元さんの触れた白い箱の中身がなんなのか、予想がついたから。
「私に……?」
「うん」
「……………」
今日は誕生日じゃないし、記念日でもない。
なんでもない日に渡されるとなると、思い当たる理由はひとつ。
私の予想が外れてくれればいい。
どうか、外れてくれますように。
中を確認しようと、震える指先でゆっくりと箱を開けた。
ドクン、と心臓が跳びはねる。
「…………あたっ、……ちゃった」
姿を現したのは、大粒の苺がのったケーキ。
皮肉にも、丸ごと。
ワンホール。
予想は見事に的中した。
してしまった。
「………愛?」
甘やかすような、そんな優しい声で私の名前を呼ぶから。
我慢していた涙がこぼれ落ちてしまった。
「……わかった。さよなら」
そう言ってここを出て行けば、安っぽいドラマの出来上がりだ。
あとを追ってこない恋人のことを想い、泣きながらフラフラと夜の街をさまよう悲劇のヒロインを演じることができる。
だけど、そんなのごめんだ。
悲劇のヒロインなんて、前に一度経験している。
私、幸せになりたいんだよ。
これからもずっと、福元さんのそばにいたい。