愛かわらずな毎日が。
「ごめん。……いや、うん。ちょっと、……なんか、理解できてないんだけど、」
ぽろぽろと涙を流す私の前で、福元さんは眉尻を下げて耳の後ろをポリポリと掻いた。
「え……?なんで?」
「いや、なんで、って……。こっちが訊きたい、というか。終わりとか、嫌いとか、別れるとか。………え?俺?」
「…………え、」
動揺してる、と言っていいのだろうか。
目の前には、なんだかいつもと様子の違う福元さんが居て。
初めて見る、福元さんが居て。
「ちょっと、……一旦、整理させて」
こめかみ辺りを押さえながら椅子に腰掛けた福元さんを見ていたら、いつの間にか涙は止まっていた。
え?
私、なにか間違えて……。
間違ったこと、……。
「………ズズッ、………けほっ」
ドクン、ドクン、
さっきまでとは違う緊張感と。
スーッと血の気が引いていくような、そんな感覚がした。
このままだと、福元さんの意識から外れてしまうかもしれない。
私ひとり、おいてきぼりになってしまう。
そんな焦燥感もあって。
「あっ…、あの……っ」
「………ん?」
肘をつき、軽く握りしめた拳をこめかみにあてて目を閉じていた福元さんが顔を上げた。
「わ、…私と、別れたくて、ケーキをくれたんですよね?」
「え?」
「だっ、……て、あのとき私が」
あの日、福元さんにお願いしたから。