愛かわらずな毎日が。

なにに対してなのか、説明はできないけれど。

引っ込んだはずの涙がまた、じわじわと湧き出てきた。


「………ズズッ、……ッ」


「……………」


「………ぐすっ、……」


カシャン……、

キャスター付きの椅子が音を立てたと思ったら、気づいたときにはもう、私は福元さんの腕の中にいた。


「……ごめん」

その言葉を、全身の力が抜けていくような、そんな息とともに吐き出した福元さんの腕に力が込められる。

ぎゅっと、きつく私を抱きしめる。


久しぶりの、福元さんの体温。

ちょっぴりスパイシーだけど、やさしい香り。


ゆっくりと。でも。

確実に満たされていく、私の中の「福元さん専用」メーター。


福元さんの腰に遠慮がちに回した腕に、ぎゅうっと力を込めた。


好き、って想いと。

それにくっつくいろいろな感情が、ぜんぶ伝わりすように、と。


「………よかった」

フッと息を漏らした福元さんがそう呟いた。


「………え?」

不思議に思って顔を上げると、福元さんの顔がグンと近くなって。

私の心臓がドクンと反応するのと同時に、福元さんのおでこと私のおでこがコツンと優しく音を立てた。


「あの、……よかった、っていうのは、」


すぐ近くで感じる呼吸と鼓動。

それが自分のものなのか、それとも福元さんのものなのか。

区別できないほどの距離で、福元さんの声が弱々しく響く。


「嫌いって、言われるのかと思った」

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