愛かわらずな毎日が。

「あ。また泣きそうな顔してる」

そう言った福元さんの右手が、私の左の頬にそっと触れた。


「…………だって、」

と口を開いたものの、どう伝えればいいのかわからなかった。


福元さんのことを信じなかったことに対しての罪悪感がある。

それでも。


お見合いしない、って。

別れなくてもいいんだ、って。

これからもこうして近くにいられる。

福元さんのこと、好きでいてもいいんだ。


そう思ったら、言葉にするのも難しいほどの感情が溢れ出だしてきて。

それが、涙となってこぼれ落ちた。


「愛……?」


頬に置かれた手が温かい。

私の名前を呼ぶ声が優しい。


それだけのこと。

それだけのことなのに、私は感情を抑えることができなくなってしまった。


福元さんを困らせてしまうかもしれない。

きっと、離れがたくなるに違いない。


わかってるのに。

わかってたのに。


「…………ふくもと、さん、」


「ん?」


「……………、」


自分から近づけた。

そっと、目を閉じて触れた。


そしたら。


胸の奥が締めつけられて。

胸の奥で熱いものが生まれて。


ほんの数秒の出来事だったのに。

ゆっくりと唇を離した私はもう、自分の気持ちに嘘がつけなくなっていた。


ずっと吐き出したかった言葉。



「……福元さんが、………足りない」


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