愛かわらずな毎日が。

「……ごめん」

すぐそばで響いた福元さんの声。

抱き寄せられた拍子に体勢を崩した私が咄嗟に掴んだ福元さんの腕。


近くにいるだけで。

触れているというだけで、胸が熱くなる。


「大人気ない態度とって、ごめん」

福元さんは私の後頭部に手を添えると、鼻先を私の髪に埋めるようにしてそう言った。


「………あの、」

福元さんから体を離して顔を上げると、眉尻を下げた福元さんが私の両頬を大きな手のひらで包み込んだ。

そして。


「俺が全部悪いんだよ」

そう言うと、熱を帯びた私の瞼に優しくキスをした。


「いい歳して情けないよな」


「福元さん……?」


福元さんの唇が触れた部分が、ジンジンと熱い。


福元さんに対して腹を立ててしまったけれど。

きっと。

悲しいだとか、悔しいだとか、いろんな感情があったはずなのだけど。


こうして触れられると、なにも言えなくなる。


私の中に存在するのは、福元さんに対する「愛しい」という感情だけ。

そう思ってしまう。


「ごめんなさい」

それしか言えなかった私は、福元さんの背中に回した手にぎゅっと力を込めた。


できれば、ぎゅっとしたい。

してもらいたい。


そう思ってたから。

経緯はどうであれ、今、こうしているだけで胸が熱い。

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