愛かわらずな毎日が。

「今までどこで何してたんですか!?
……っていうか。信じられない!営業部のところが空欄だし!」


森下の、その後に続く言葉は、私の想像していた以上のもので。

「ごめん。ちょっと、体調悪くて」なんて言い訳もできないほど。

おまけに。

「新人に示しがつきませんからね。ちゃんと終わらせるまで帰っちゃダメですよ!」

などと言われてしまった。


「……ったく。きっちり残してくれちゃってさ」

自分の机の上に積まれたファイルを見てため息を吐いてしまったのだけど。


自業自得、ってやつだ。


定時で帰っていった森下に遅れること二時間。

ようやくタイムカードを押すことができた。



「夜はさすがに冷える……」

トレンチコートのポケットに手を突っ込んで、営業部の階を見上げた。


どうせ残業するのなら、福元さんと一緒の時間に帰りたい。


そう思っていたのだけれど、上手くはいかないもので。

福元さんと井沢が会社に戻ってきたのは、私が帰り支度を終える少し前のことだった。


井沢も居るし、営業部の部屋には行きづらい。

かといって、このまま帰りたくはない。


かれこれ30分ほど、こうして会社の前で突っ立っているのだ。

< 228 / 320 >

この作品をシェア

pagetop