愛かわらずな毎日が。


なかなか泣きやまない私の横に腰を下ろした福元さんが、

「謝らなくていい。泣かなくていいよ」

そう言って私を抱きしめた。


私は福元さんに体を預けると、福元さんの背中に腕を回した。

私の髪を、福元さんが優しく撫でる。


何度も言い聞かせてきたはずなのに。


大丈夫。

大丈夫、って。


何度も。何度も。


それでも不安になってしまうのは、自分に自信がないから。

ちゃんと、わかってる。


「………愛、」

耳元で優しく響く声。


「………は、い」

はりついたのどをこじ開けて返事をした。


私の頭にこつんと自分のおでこをくっつけた福元さんが、私をきつく抱きしめる。


「もっと、自信を持っていいんだよ」


すぐそばで響いた声は私の中に流れ込み、じわじわと体温を上げる熱に変わる。

その熱のせいなのか。

福元さんの優しさに、どっぷり浸かってしまいたい衝動に駆られた。


福元さんの背中に回した腕にぎゅっと力を入れる。


「………福元さん、」


「うん」


「……これからも、……言って。
大丈夫だよ、自信持っていいよ、…って。
懲りずに言ってほしい……」


そっと見上げると、福元さんはゆっくりと口角を上げた。

その優しい表情を、私は何度も目にしてきた。


好き。

大好き。


玲香さんに対する罪悪感すら消してしまいそうなくらい、愛おしい。


「懲りずに、何度でも言うよ」


そう言って私を抱きしめる福元さんのことが、愛おしくてたまらない。

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