愛かわらずな毎日が。
経験、……ねぇ。
男と女のちがい、だろうか。
それとも、営業職と事務職のちがいだろうか。
ただ単に、私の性格が問題だったりする、……のかもしれない。
外の世界がどうだとか、今まであまり深く考えたことはなかった。
私が在籍する部署は、とても居心地のいい部署だから。
与えられた仕事をこなしていればいいし。
キャリアアップ目指して猛勉強、なんてことも必要ない。
だから。
外に目を向けることも、現状から抜け出したいと思ったことも。
今まで一度だってない。
「忘れてた緊張感を思い出せたんじゃない?」
福元さんはそう言ったけど。
「………緊張感。……はい。確かに」
エレベーターの動きが止まり、先ほどのように福元さんがボタンを押し、他の人たちが降りるのを待っていた。
「緊張感なさ過ぎなのかな、私……。
でも。正直言うと、緊張感よりケーキのほうがうれしかったです」
福元さんが、どうぞ、と言うから、すみません、と頭を下げて先にエレベーターを降りた。
「ケーキ?」
「はい。役員会議のあとには、いつも部長が『手伝いご苦労さん』って、ケーキをご馳走してくれるんですよ。あ、もちろん買いに行くのは私たちなんですけど。3時のおやつはケーキだって、朝から楽しみにしてたのに」