愛かわらずな毎日が。
会社に戻ると、机の引き出しにしまってある住所録を引っ張り出した。
東営業所営業部主任 福元壮真
へぇ。うちの隣街に住んでたんだ。
福元さんが営業所に異動になるまでの一年間、同じ本社で勤務していたにもかかわらず、挨拶を交わしたり、仕事上の会話しかしてこなかった。
営業所に異動になってからは、年に数回、顔を合わせる程度で。
入社してからもう何年も経つのに、今ごろになって住所を知るくらいなのだ。
「あっ、お帰りなさい。早かったですね。いい人には出会えましたか?」
突然背後から声をかけられて、慌てて住所録を閉じた。
「ん?どうかしたの?」
にやけ顏の森下の隣には、不思議そうな顔をした香織の姿。
「ううん。なんでもない」
「ふぅん。あっ!ケーキ、あんたの分も買ってきてあげたからね。お茶、いれてくれる?」
香織がニンマリと笑う。
「うん。いれる、いれるっ!ありがとーっ」
私はそう言いながら住所録をもとの場所にしまった。