愛かわらずな毎日が。

なんだろう。


苦しい、っていうか。

胸の奥がざわざわと騒がしくて。


痛いわけじゃないのに、胸をさすりたくなるような、そんな感じがして。

「切ない」って言葉を、口にしてしまいたくなるような、とても不思議な感覚。


なんだか、切ない。


「あ……、あの…っ!」


思わず呼び止めてしまった。

福元さんの背中を見ていたら、なにか言葉をかけなくちゃと、そう思って。


「ん?」

はじめは、顔だけをこちらに向けた福元さんだったけれど。

「……えっと、……なんて、いうか」

モゴモゴと喋る私に痺れを切らしたのか、体ごとこちらに向いた。


あぁ、ちがう。

痺れを切らしたんじゃなくて、聞く態勢をとってくれたんだ。


だって。


「どうかした?」

そう言った福元さんの表情は、とても優しいものだったから。


「ケーキ、……ありがとうございました」


「いいえ。どういたしまして」


「あの……」


「うん」


「いろいろ、大変だとは思いますけど。
頑張って、……ください」


結局、そんな言葉しかかけられなかったけれど。

それでも。


「ありがとう」


福元さんはそう言って笑顔を見せてくれた。

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