愛かわらずな毎日が。
「紅茶、いれてくれる?」
夕飯を終え、冷蔵庫からケーキの箱を出してテーブルの上に置いた。
「なに?どうしたの?」
「もらったからさ、食べよ」
そう言って、ソファーにどっしりと腰を下ろした。
「普通、『紅茶いれるから一緒にどう?』って言うもんじゃない?26にもなって……」
ふぅっとため息をついた母親が、ケーキの箱を開けて中を確認する。
「あら、おいしそうね」
「うん。おいしかった」
きっちり定時で帰っていった森下や、オバサン連中の分をよけて香織と二人で食べたけど、それでも余ってしまった。
「持って帰ったら?愛がもらったんだから」
そんな香織のお言葉に甘え、持ち帰ってきたのだった。
「お母さん、イチゴのにするわ。あんたは?」
「うーん…。チョコのにする」
目を閉じれば福元さんの笑顔が浮かぶ。
フッと目を細めた笑顔。
白い歯をのぞかせた笑顔。
ふわりと溶けてしまいそうな、やわらかい笑顔。
福元さんは、いつも笑ってる。
「はい、どうぞ」
目の前に置かれた紅茶とケーキに向かって手をあわせ、
「いただきます」
今日、ふたつ目のケーキを口に運んだ。