愛かわらずな毎日が。

「……見事に餌付けされてない?」

香織が得意料理の唐揚げを箸で挟んだまま、目を丸くしている。


「え……?」

コンビニ弁当をつついていた手を止めた私。


「餌付け、って?」

同じくコンビニ弁当のごはんをほお張っていた森下が首を傾げた。


「ケーキよ、ケーキ。福元さんからケーキをもらってから、様子がおかしくなったのね」

ニヤリと笑う香織を見て、

「なるほど」

と、森下が納得したような表情でうんうんと頷いた。


「おいしかったものね、あのケーキ。私も、あと3つ食べてたら福元さんになついてたかも」

そう言ってクスクスと笑う香織。


「餌付けって…。なつくってなによ。ヤな感じ」

ひとり理解できずにいる私は、そう言って唇をとがらせた。


「ごめん、ごめん。ふふふ。ほんと、ごめん」

謝りながらも笑うことを止めない香織と、どこか嬉しそうな表情をした森下を見て、思わず大きなため息を吐いてしまった。


そんな私を見て、香織が小さく微笑んで言う。


「今はさ、男がどうとか、女がどうとか、言ってられないご時世だけど。
それでもやっぱり、違うと思うんだよね。
福元さんだけじゃなくて。男の人は誰だって、多少の覚悟はしてると思う」


「……そうかな」


「そうよ」


「……そっか」

ふぅっと息を吐き、痩せ細ったエビフライにかぶりついた。

< 61 / 320 >

この作品をシェア

pagetop