愛かわらずな毎日が。
新しい名刺を福元さんに届けるため営業部の部屋にやって来ると、昨日まで柴田部長の席だった場所に福元さんの姿があった。
当然のこと、と言ったらそれまでなんだけど。
なんだか少し、不思議なかんじがした。
「遅くなってしまって。すみませんでした。もっと早くに渡せたらよかったんですけど」
プラスチック製のケースに入れられた新しい名刺を差し出すと、ありがとう、と言った福元さんの、ちょっぴりゴツゴツした指がケースの蓋に触れた。
「間宮さんのせいじゃないんだから、そんな顔しなくていいよ」
「………え、」
「さっき、臼田さんから内線でさ。
向こうの手違いで納品が遅くなった、って聞いたんだ。間宮さんは悪くありませんから、って言ってたよ」
福元さんはそう言うと、フッと口元を緩めた。
香織が……?
福元さんはケースから新しい名刺を一枚取り出すと、印刷ミスがないかを確認し、
「うん。大丈夫そうだね。ありがとう」
と言ってにっこり笑った。
「…………」
ちょっとだけ。
いや、かなり。
胸の奥が、ジワジワと熱くなった。
香織にお礼を言わなくちゃ。
私は福元さんに頭を下げると、営業部の部屋をあとにした。