愛かわらずな毎日が。

もしかしたら、挨拶くらいできるかも。


そんなことを期待して来てみたけれど。


……森下に頼めばよかった。


そうしたら、仲良さげなふたりの姿を目にすることもなかったはず。


「ふぅ……っ」

ドアの前で小さく息を吐く。


朝のミーティング直後のせいか、営業部の部屋にはまだ殆どの人が残っていた。

ガヤガヤと騒がしい空気の中に足を踏み入れる気にはなれなかったけど、ここまで来ておいて引き返すなんてできない。


あぁ…。それにしても、いやだな。

井沢や中里とは顔を合わせたくない。

「いつにも増してブサイクだな」なんて言われそう。


冴えない顔をしてるであろう自分を想像して、自然とこぼれ落ちた息。


「はぁ……」


すると突然、それに重なるようにして響いた、ガチャリ、という音。

肩がビクンと跳ねる。


目の前でゆっくりと開かれたドア。

ドアノブに伸ばされた手を伝うように視線を移動させると、

「お先にどうぞ」

と、さわやかな笑顔で私を見下ろす福元さんと目が合った。


「………ぁ、」


「中、入るんでしょ?」


「……………」


「どうかした?」


「………ぇ?………ぁ、」


いえ、なにも。

すみません。

ありがとうございます。


そう伝えたかったのに、パクパクと口が動いただけで、声にはならなかった。

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