愛かわらずな毎日が。

「………みや。……おい、間宮」


「………えっ、」


「これ。田辺部長に持っていってもらいたいんだけど」

すぐ横に立っていた井沢がムッとした表情で一枚の紙を差し出していた。


「あ………、」


「ブサイクな顔してんなぁ」なんて言われるんじゃないかと、ダンボール箱の中身を確認するフリをして下を向く。


「おい。聞いてんのかよ」


「…………」


井沢と目も合わせず、差し出された紙を奪い取ると、ダンボール箱に詰め込んだ荷物の上に乗せた。


「なんだよ、気分わりぃな」

なんて井沢の言葉も無視して。

ダンボール箱を抱え上げた私は、逃げるようにして営業部の部屋をあとにした。



「これ、営業の井沢さんからです」

田辺部長に井沢から預かった用紙を渡し、給湯室へと向かう。


視線を落とした先にあった洗い桶に手を入れて、漂白中だったふきんを取り出した。

鼻をつく漂白剤の臭いに刺激されてか、目の奥までジワジワと熱くなる。


「………ぐすっ」


蛇口から勢いよく出る水で、ふきんに染み込んだ漂白剤を洗い流す。


こんなこと、森下にやらせればいいのに。


さっきの、仕分けしなくちゃいけないし。

事務用品の発注もあるし。

会議用のお茶も買いに行かないと。


やることいっぱいあるのに。


「………ぐすっ」


しばらくここから出られそうにない。

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