愛かわらずな毎日が。
のどの奥が熱い。
こみ上げてくる感情も。
ほぅっと吐き出した息も、きっと熱い。
私は汗をかいたグラスに手を伸ばすと、のどの熱を冷ますようにアイスティーを飲んだ。
不安要素はまだまだあるけれど。
今は、
「よかった……」
正直、この言葉しか浮かばない。
ふふっ、と私を見て笑みをこぼした香織が、
「今ね、愛のこと、ものすごーく抱きしめたい気分」
目を細めてそう言った。
「えっ…?なっ、なによ、それっ…」
いきなりそんなの、びっくりするじゃない。
「だって、可愛いんだもん。
福元さんのことで赤くなったり、青ざめたり。
福元さんの前でテンパってる愛を見たときは、もう、無性にぎゅーってしたくなるよ」
「え、……えぇっ!?」
驚いて目を丸くした私を見て、うふふ、と肩を竦めて笑った香織。
「大丈夫。……って。なんの根拠もないんだけどね。ふふっ。きっと、大丈夫。
不安になる気持ちはよくわかるけど。愛は、もっと自信持っていいと思うよ」
そう言い終えるか終えないかというとき、テーブルの上に置いていた香織の携帯が着信を知らせる。
「あ。凌からだ」
「いっ…、いいよ。出なよ」
「あはは。うん。ごめん」