愛かわらずな毎日が。
「もしもし?どうしたの?」
ストローでアイスティーをクルクルとかき混ぜながら話す香織を真似て、私もクルクルと手を動かす。
カラカラと音を立てる氷と、ぱちぱちと瞬きを繰り返す香織を代わる代わる見ていた。
香織には、付き合ってもうすぐ5年になる彼がいる。
去年の春に彼が転勤になって遠距離恋愛になってしまったのだけれど。
香織いわく、「離れてからの方がうまくいってるかも」だそうだ。
「えっ?今?会社の近くでゴハン食べてる。
……うん。………ううん。愛と一緒だけど。
…………えっ?ウチに?ちょっと待って。
だって、明日の朝だって言ってたでしょ?」
香織の眉間には、みるみるうちにシワが刻まれていく。
「なんでいつもそうなの?信じられないっ。
もう、切るよ」
一方的に通話を終わらせた香織が、はぁっと息を吐き、携帯をテーブルの上に置いた。
「どうかしたの?」
「あ。……うん。ちょっと、ね」
「ケンカ?」
「ううん。なんていうか……。
実はね、明日の朝イチで向こうを出る話になってたんだけど」
「凌くんが?」
「うん。………もうすぐ、こっちに着くって」
「えっ!?そうなの!?」
「仕事終わってすぐ向こうを出た、って。
だったら出る前に連絡して、ってかんじ。
いっつも、そう。こっちの都合も考えないで」
そう言うと、大きく息を吐き出した。