愛かわらずな毎日が。
「前もそうだったの。『今オマエんち着いたんだけど』って、連絡もなしで来てね。そのとき私、試着中で。慌てて脱いで、何も買わずに帰ったんだから」
「今日来ても、冷蔵庫カラッポだし」
「いくら付き合いが長いからって。相手の都合とか、ふつうは考えるよね?
私、なにか間違ったこと言ってる?」
などなど。
どこで息継ぎするのだろう、と考えた私の方が苦しくなってしまうくらい。
興奮した香織はフォークを手にしたまま、凌くんに対する不満を口にする。
私は、そうなんだ、とか、それは大変だ、とか。相槌を打ちながらパスタをフォークに巻きつける。
「……っていうか。そんなに慌てて食べると太るよ。よく噛んで食べなよ」
「ん。でも、……ん、…んんっ。
香織も、早く食べて」
太るというよりは、のどに詰まらせそうになって慌てて水で流し込んだ。
「……ちょっと。もしかして、凌のこと気にしてくれてるとか?
それだったらいいんだからね。待たせておけばいいの。文句は言わせないから」
香織はソースの中に隠れていた海老を見つけ出すと、それをフォークの先でブツリと刺した。
ほんとは嬉しいくせに。素直じゃないな。
「だって。香織に早く会いたくて、車を飛ばして来てるんでしょ。私だったら、……コホッ。
福元さんがそうしてくれたら、今すぐここを出るけどね」
言ったあとで後悔した。
香織が、真っ赤になったであろう私の顔を指さして、
「その顔!やっぱり、ぎゅーってしたいわ」
そう言って笑ったから。