愛かわらずな毎日が。
「あれ?まだ居たんだ」
営業部の部屋でひとりパソコンと向き合っていた福元さんは、私の姿を見て少し驚いた様子でそう言うと、壁の時計に目をやった。
「遅くまでご苦労様」
フッと目を細めた福元さんの笑顔に、胸がきゅうっと締めつけられた。
「あ……。いえ、私は。さっきまで、臼田さんと一緒に。すぐ近くで、……ごはん食べてて」
入口に突っ立ったままそう答えた私を、福元さんは不思議そうな顔で見る。
「忘れ物でもした?」
「……いいえ」
福元さんに会いたくて。
もちろん、そんなこと言えない。
「臼田さんに、用事ができてしまって。
それで。帰ろうと思ったんですけど、……前を通ったら明かりがついてて。……それで、」
携帯は置き忘れていない。
FAXが届いてるかどうかなんて、そんなことは頼まれていない。
ただ、
顔が見たかった。
声が聞きたかった。
ただただ、福元さんに会いたかった。
だから。
まわれ右をして会社を目指している間、ずっと、福元さんが居てくれることを祈ってた。
前みたいに居てくれたら、今度こそ「お疲れ様です」と声をかけるから。
だから、居て。
そうして見上げた営業部の部屋に明かりがついているのを確認したときは、もう、胸がいっぱいで。
祈るとか、そういうんじゃなくて。
確信に変えていた。
残っているのは福元さんしかいない、って。
そんなふうに。