スノードーム
恋すると女の子は可愛くなるってこういうことなのかな、何て頭の奥の方でぼんやり思う。
私も、これくらい可愛くなれたら良かったのに。
「カンナ、もうすぐだよ」
そんな話をしているうちに、あっという間に着いてしまった先輩の教室。
雅の声に顔を上げれば数メートル先に見えた扉にドキッと心臓が跳ねる。
「教室まで着いていこうか?」
「…ん。大丈夫」
心配そうな表情で私の顔を覗き込む二人に平気、と頷いて一歩を踏み出した。
一歩、二歩…少しずつ縮まる距離。
あと数歩で扉まで辿り着くという時、中から聞こえた声に思わず足が止まる。
教室からは先輩と
「涼司せんぱーい!」
先輩を呼ぶ彼女の声。