スノードーム
「…や、だ!は、なして…!」
必死にその手から逃れようと暴れる。
普段は嬉しいはずの先輩の体温も、今はただ苦しくて苦しくて。
逃げるように何度も体を捩ってみるけれど、先輩の手は外れる気配を見せない。
それでも嫌だ嫌だと何度も反抗する私。
そんな私の上で先輩がすっと息を吸い込んだのがわかった。
そして
「っ…離したら、逃げるだろ!」
何とか逃げ出さなくてはと必死にもがく私の耳の届いたのは、初めて聞いた先輩の怒鳴り声で。
部活の時に出していたものとはまた違うそれ。
予想もしていなかったその声に、私の体はびくりと揺れる。
知らず知らずのうちに震える指先。