雪人

「三式“軸円連波”」

 剣を正面へと戻し、ルイは自分を軸にして素早くその場で一回転する。すると、ルイから全方向へ真空の刄が放たれる。ルイから円を描くように広がっていき、生い茂っている草や聳え立つ長い木を刈り取って彼方へと消えていった。真空の刄が通り過ぎた跡は辺りの草は刈り取られ、重心を失った木々はドンッと地面へと倒れた。あちこちの木々が倒れたことによって、それを利用して泥の地面に触れずに渡って行けるようになった。

「……少しやりすぎたかな」

 ルイの周囲は悲惨な状況が広がっていた。一言で言うと殺風景。刈り取られた草は地面へと落ち、長い木々は無造作にあちこちに倒れている。長い木々に今まで遮られていた太陽は顔を出し、この森にこれでもかと光を注ぐ。ジメッとした雰囲気がこの森には漂っていたが、太陽の眩しい光によっていつのまにか消えていた。そして、ここの一角だけ別世界が広がっている。
 ルイは太陽の眩しい光に目を細めて久しぶりの空を見る。青く澄み渡る空は見るものを落ち着かせ、所々に雲が浮いている。雲はフワフワと何処にいくでもなく自由気ままに漂っている。それはまるで綿飴のようで甘い香が匂ってきそうである。その光景を見ていると自然にルイの顔も綻ぶ。

「いつまでもこうしていたいけど、するべき事をやってからまた見るか……空を……」

 見上げていた顔を正面に戻し、素早い身のこなしで無造作に倒れている木々を足場に使いながらエレミールのもとに向かった。

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