雪人

「シュレリア、ま――!」
「潰れちゃえ〜〜」

 ルイの声も虚しく、シュレリアは上げていた手を振り下ろした。すると、空中で身動きのとれないウルフ一体一体に、風を圧縮したものを上から圧し潰すように落とされた。ルイは舌打ちし、エレミールのもとへ一瞬で近寄り、腰を抱いて急いで木々を伝うように上へと高く上がっていく。突然のことでエレミールは狼狽していた。シュレリアよりも高く上がった地点の太い枝に着地した、と同時に空気圧がウルフに直撃する。ウルフのありとあらゆる体の部位がバラバラに地面へと飛び散る。ボタボタと地面にウルフの臓器や肉が落ちた。地面に散乱したウルフの死骸から異臭が立ちこめ、エレミールの眉間に思わず皺が寄り口元を覆う。ルイもその異臭に口元を覆う。
 得意満面で見ていたシュレリアはルイ達のもとに向かっていき、照れ笑いを浮かべる。

「ルイ〜やっつけたよ〜」
「やっつけるにも、もっとましなやり方があっただろ。何故それをしなかった?」

「え〜だってね〜簡単に玩具潰しちゃうと面白くないもん〜」

 シュレリアは愛らしい笑顔を浮かべ、悪気なく悪戯心に満ちたように言った。まじまじと子供の残酷な心を見せ付けられたエレミールは悲しそうな瞳をシュレリアに送る。その視線に気付いたシュレリアは不思議そうな表情で僅かに首を傾けたのだった。
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