雪人

 少しひらけた場所に到着したルイは辺りを見渡す。森全体と比べると、この一帯には少し程木々が減っている。それは細かく観察しても見分けるのは難しいぐらい微々たる変化であり、ポツンと取り残されたように鬱蒼と茂る草に隠された長方形の石が置いてあるだけで何もない場所である。
 パッと見た感じ何もない場所で、一人ラキアだけが草に隠れている長方形の石に近寄った。他のレジスタンスがそれを黙ってみている。エレミールにいたってはシュレリアを抱き締めて一人癒されていた。
 ラキアは長方形の石の上に立ち、屈みこむ。その動作は、はたから見たら意味の分からない行動であった。ラキアが屈みこんだ態勢で石に向かって、ノックするような感じで軽く叩く。三回叩き、少し間を置いて五回同じように叩く。それをし終えたラキアが立ち上がり、長方形の石から離れる。

「ねぇルイ、何してるのかな?」

「さぁな……だが、急がなくてもすぐにわかるだろ」

 エレミールは不思議そうな表情でルイを見つめ問い掛けた。
 ルイは特に表情の変化もなく抑揚のない口調で返事をする。エレミールがその態度に膨れっ面の表情でシュレリアを抱き締めている腕に力を込める。むぎゅっと苦しそうなシュレリアの声が漏れた。気付いたエレミールは慌てて腕の力を抜いた。
「ご、ごめんね……」

「む〜痛かったよ〜」

「あ、こら、あばれないで!」

 抱き締められているシュレリアはエレミールの腕から抜け出そうともぞもぞ抵抗し始める。離さないようにまた腕に力を込めるエレミール。

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