雪人

 暫らく石の階段を下りていくと大きなホールが視界に広がる。左右には計八程の石で作られていて、奥にも一つ扉がある。石の階段の近くの正面には、二本の円柱が立ち並び侵入者が来たときに対処できるよう二人の男性が立っていた。その奥には赤い絨毯が敷かれた上に、多くの人数が座れそうな石のテーブルがでかでかとある。ただ、不自然なのは椅子が存在しないテーブルということだけだった。
 不思議そうな表情をしてそれを見ていたエレミールに、ラキアが説明よりも実践する方が早いと思い、見とけと言ってテーブルの傍に立つ。魔力を手に集中するラキアを余所に、ベスが勝手に走って扉の内の一つに入っていった。集中が高まり手を地面に重ねる。地面からボコボコと音を鳴らし歪な石の椅子が出来上がっていく。出来上がった椅子を一瞥し、何処か満足気にルイ達の方を向きどうだ、と言わんばかりにラキアの目が語っている。そして、リーダーを呼んでくると言って一番奥の扉に入っていった。それらの動作をしている間、どうやらダントが円柱にもたれかかっている二人の見張りにルイ達の事を説明していたようだった。他のメンバーはというと、とっくにどこかに行ってしまったようだ。

「あなた達の事は説明しときましたので、あちらのテーブルでリーダーが来るまで座ってお待ちください。もちろん自分達で石を作られますよね?ここにいる誰よりも強いのですから。それじゃあ僕はここで」

 皮肉めいた内容を言ったのだが、去って行ったダントの口調がそれを感じさせない。曲者な奴だなと思うもダントに対して少し好感を抱くルイ。

「失礼な人ね!もう、何か言い返さないの?」

「嫌味で言ってるわけじゃないんだからいいだろ、別に」

「そんなんだからルイは外見的に強く見られないのよ。もっとこう……なんだろ……」

 俯いて何かぶつぶつ呟くエレミールをほっていき、テーブルに近寄るな否やすぐに座る。それを見ていた見張りの一人が驚愕していた。なぜなら、ルイは文字通り豪華な背もたれ付きの椅子に座っているからである。でも、これといった動作をせず椅子を作るのは普通無理である。ましてや最初からあるならいけるだろうが。
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