雪人
ラキアが豪快な音を響かせ、ドアを破壊して石でできたテーブルの上へと吹っ飛んだことによって、そちらこちらの扉から何事かと思いレジスタンスのメンバーが集結しつつある。そして、集まったレジスタンスはみな同じ事を思うのだった。無断でリーダーの湯浴びを覗いたのか……と。
興味が失せたのか、ダント以外のメンバー三十二人が各々が出てきた扉へと戻っていった。
ダントはテーブルの上で気絶しているラキアに歩み寄って、呆れたような視線を送る。
「ラキアは相変わらず学習能力がないですね。いつか……それが仇になってリーダーに殺されますよ?いや、毎日毎日同じ事を繰り返しているのですから、いつかといわず今日殺されるかも知れませんね。……はぁ、いつもリーダーからあなたを助ける、僕の身にもなってほしいですね――ん?」
ダントは長々と気絶している相手に向かって、ため息混じりに愚痴を言ってるのに可笑しさが込み上げ、それと並行して悲しさが込み上げてくる。ラキアから視線を外すと、二人の男女が抱き合っている姿が視界に入った。そして、視線が合う。
「これはこれはラキアが邪魔をしたようですみませんね。どうぞ、続きをしてください」
厭らしい笑みではなく、爽やかな笑顔を浮かべダントは何事もなかったようにラキアを肩に背負った。それに反応したルイが反論しようとするよりも早く、違う甲高い声が響いた。
「ラキアぁぁぁ!どこだぁぁぁ!」
地の底から叫ぶような響きを持ったその声を発している主は、奥の壊れた扉から凄い形相で現われた。その主は般若のような表情で、濡れて艶やかに湿っている茶色の髪に、体を巻いている一枚の白いタオルだけという姿の女性であった。それに、その姿であるため体のラインがはっきり見え、豊かな胸に華奢な体つきをしている。可愛らしい外見とは違い、今にも誰か殺しそうな勢いでパッチリ二重の丸く澄んだ茶色い瞳を動かす。動かしていた瞳が、ダントに背負われているラキアへと定まる。
「死ねぇぇぇ!」
壊れたドアの欠けらから、変化させ精製した石のナイフがラキア目がけて十本放たれる。近づいてくるナイフをダントが躱そうとするが、その必要がなくなった。ダントの目の前にいる人物がナイフを全て地面に叩き落したからだ。