雪人
正面に顔を戻したルイはシュレリアのことを見なかったことにしようと思った。
そしてすぐにソクラサに視線を向けると詠唱が最終段階に入っていた。
「大地に終末をもたらす予言となれ――」
ソクラサのこの言葉をかわぎりに魔力がさらにホースから突然水が流れだすようにブワッと膨れ上がり、円柱の横幅が増大する。その影響で風は前を向くことすら目を開くことさえできない荒々しい暴風となって周りに吹き付けた。 風の影響でクーパが地面に突き刺していたスコップはぐらぐらと揺れ始め、地面に埋まっている先端が不安定になり、ついには先端が抜けてしまい持ち手を掴んでいたクーパが後ろの宙に吹き飛ばされた。その際何やら喚いていたようだが、ゴーゴーという風の轟音に消されしまった。
シュレリアもこの風の荒々しさの中では宙を舞えず、クーパと後ろに一緒に飛ばされてしまう。落ちるかと思われるぎりぎりの場所で仲良くこの状況下の中でも言い争いをしていたり、段差のある石を掴み並んで鯉のぼりようにぶらぶら揺られていた。シュレリアは楽しそうに、クーパは内心ハラハラしているだろうが余裕そうな表情を表面上には出している。
ルイはというと足が踏張れなくなりそうなところで、咄嗟に氷剣を地面に突き刺した上に、固定するため氷剣の周りの地面の中ごと凍らして荒々しい暴風を凌いでいた。右手は目を腕で防ぐようにして、左手は氷剣を握り締めている。
ルイは目を細め腕からみえる限られた視界の中からソクラサを見た。
茶色の髪の毛は魔力の波動で逆立ちして、目は狂気の色を帯びている。理性は完全にぶっ飛んでいた。
いや、理性がぶっ飛んでいるからこそ地属性究極級魔法なんかを唱えようとしているのだろう。でなければ一つのグライドアースという王都を滅ぼす魔法を唱えようとするわけがない、自分の命すら落としかねないのだから。
そう思ったルイは頭の中の記憶を巡らした。ソクラサの魔法発動段階までにコンマ数秒もない時間の中で、出来る限りのいく通りの思考で地属性究極級魔法に対処できる魔法または剣技に、自分にしかない特殊能力の中にあるだろうかと、そしてグライドアースにいる全ての人間が救える可能性の高い方法を。
ルイの選択によってグライドアース存亡の運命が今、決まる。
滅亡か……
存続か……
その時が来た。
そしてすぐにソクラサに視線を向けると詠唱が最終段階に入っていた。
「大地に終末をもたらす予言となれ――」
ソクラサのこの言葉をかわぎりに魔力がさらにホースから突然水が流れだすようにブワッと膨れ上がり、円柱の横幅が増大する。その影響で風は前を向くことすら目を開くことさえできない荒々しい暴風となって周りに吹き付けた。 風の影響でクーパが地面に突き刺していたスコップはぐらぐらと揺れ始め、地面に埋まっている先端が不安定になり、ついには先端が抜けてしまい持ち手を掴んでいたクーパが後ろの宙に吹き飛ばされた。その際何やら喚いていたようだが、ゴーゴーという風の轟音に消されしまった。
シュレリアもこの風の荒々しさの中では宙を舞えず、クーパと後ろに一緒に飛ばされてしまう。落ちるかと思われるぎりぎりの場所で仲良くこの状況下の中でも言い争いをしていたり、段差のある石を掴み並んで鯉のぼりようにぶらぶら揺られていた。シュレリアは楽しそうに、クーパは内心ハラハラしているだろうが余裕そうな表情を表面上には出している。
ルイはというと足が踏張れなくなりそうなところで、咄嗟に氷剣を地面に突き刺した上に、固定するため氷剣の周りの地面の中ごと凍らして荒々しい暴風を凌いでいた。右手は目を腕で防ぐようにして、左手は氷剣を握り締めている。
ルイは目を細め腕からみえる限られた視界の中からソクラサを見た。
茶色の髪の毛は魔力の波動で逆立ちして、目は狂気の色を帯びている。理性は完全にぶっ飛んでいた。
いや、理性がぶっ飛んでいるからこそ地属性究極級魔法なんかを唱えようとしているのだろう。でなければ一つのグライドアースという王都を滅ぼす魔法を唱えようとするわけがない、自分の命すら落としかねないのだから。
そう思ったルイは頭の中の記憶を巡らした。ソクラサの魔法発動段階までにコンマ数秒もない時間の中で、出来る限りのいく通りの思考で地属性究極級魔法に対処できる魔法または剣技に、自分にしかない特殊能力の中にあるだろうかと、そしてグライドアースにいる全ての人間が救える可能性の高い方法を。
ルイの選択によってグライドアース存亡の運命が今、決まる。
滅亡か……
存続か……
その時が来た。