雪人
ルイの選択が決まった瞬間、ソクラサが口を開いた。
「――コメット・オブ・ルイン!」
発狂者のように声高らかに唱えた魔法名の直後、ピタリと嘘のように巨大な魔力で出来ていた天まで昇る円柱が消えてしまった。まるで蝋燭の火を消すような呆気なさに目を疑いたくなるほどだった。荒々しく吹いていた風も同時に止み、全ての音がブラックホールに吸い込まれたかのように音が消えていき、静寂が辺りを包みだす。
その静寂は、嵐の前の静けさと形容すればしっくりくるだろう。言い換えると、この静けさが終われば嵐のごとく何かが起こる予兆なのかもしれないということ。
この静寂を打ち破ったのは騒がしい二人の声だった。
「楽しかったね〜ビュービュー風が吹いて〜」
「楽しかねえよ、あんなのは真っ平ごめんだな。一瞬ヒヤッとしたぞ、本当に」
ガヤガヤと騒がしい声が背後から聞こえるのを、ルイは良い意味で緊張感のないやつらだなと少し思った。
シュレリアとクーパがルイの隣まで来た。
「ガキンチョ、ソクラサの野郎何しやがったんだ?」
クーパは地面に座り込んでいるソクラサに視線をやった。ソクラサの顔は少し憔悴したような面持ちをしている。多大な魔力を消費したため立てないまでに疲労したようだった。
シュレリアとクーパ、それにルイの視線がソクラサに集まると不意に、クックックと不気味に笑いだした。
「もうこれでこの都市にいるやつらは直に死ぬ! 何が起きたか分からずにな!」
この言葉がソクラサの独りよがりな発言と思われないのは、先程の魔力が証明していた。
クーパの質問を聞き流したルイはシュレリアに有無を言わさない口調で命令する。
「シュレリア、後一分ぐらいでこの王都グライドアースをまるまる覆い尽くすことが出来る巨大な隕石が落ちてくる。それの落下速度を少し落としてくれ。それと、俺は巨大な隕石を粉砕は出来ても木っ端微塵にすることは出来ない、その後のことはわかるな。あと、そこのモグラを連れてけ、何かの役にたつかもしれないからな」
「無視するな! それに俺はクーパだ! ただのモグラじゃねえよ! ってまたかよ!」
「わかった〜ラジャー」
そう言ってクーパに風を巻き付けて一緒に上空に向けて飛翔した。
二人が行ったのを確認するとルイは、静かに魔力を練りだしたのだった。
「――コメット・オブ・ルイン!」
発狂者のように声高らかに唱えた魔法名の直後、ピタリと嘘のように巨大な魔力で出来ていた天まで昇る円柱が消えてしまった。まるで蝋燭の火を消すような呆気なさに目を疑いたくなるほどだった。荒々しく吹いていた風も同時に止み、全ての音がブラックホールに吸い込まれたかのように音が消えていき、静寂が辺りを包みだす。
その静寂は、嵐の前の静けさと形容すればしっくりくるだろう。言い換えると、この静けさが終われば嵐のごとく何かが起こる予兆なのかもしれないということ。
この静寂を打ち破ったのは騒がしい二人の声だった。
「楽しかったね〜ビュービュー風が吹いて〜」
「楽しかねえよ、あんなのは真っ平ごめんだな。一瞬ヒヤッとしたぞ、本当に」
ガヤガヤと騒がしい声が背後から聞こえるのを、ルイは良い意味で緊張感のないやつらだなと少し思った。
シュレリアとクーパがルイの隣まで来た。
「ガキンチョ、ソクラサの野郎何しやがったんだ?」
クーパは地面に座り込んでいるソクラサに視線をやった。ソクラサの顔は少し憔悴したような面持ちをしている。多大な魔力を消費したため立てないまでに疲労したようだった。
シュレリアとクーパ、それにルイの視線がソクラサに集まると不意に、クックックと不気味に笑いだした。
「もうこれでこの都市にいるやつらは直に死ぬ! 何が起きたか分からずにな!」
この言葉がソクラサの独りよがりな発言と思われないのは、先程の魔力が証明していた。
クーパの質問を聞き流したルイはシュレリアに有無を言わさない口調で命令する。
「シュレリア、後一分ぐらいでこの王都グライドアースをまるまる覆い尽くすことが出来る巨大な隕石が落ちてくる。それの落下速度を少し落としてくれ。それと、俺は巨大な隕石を粉砕は出来ても木っ端微塵にすることは出来ない、その後のことはわかるな。あと、そこのモグラを連れてけ、何かの役にたつかもしれないからな」
「無視するな! それに俺はクーパだ! ただのモグラじゃねえよ! ってまたかよ!」
「わかった〜ラジャー」
そう言ってクーパに風を巻き付けて一緒に上空に向けて飛翔した。
二人が行ったのを確認するとルイは、静かに魔力を練りだしたのだった。