雪人
 それに気付いたメリルは何と言いたげな目でルイを見るが、目を背けられやれやれといった表情をする。
 あとから追い付いてきたエレミールはメリルを見て、口をポカーンと開けて目を見開く。

「えっ?どうしてメリル姉ぇがここにいるの!?」
「そんなことは置いといて、あら、可愛らしい女の子になっちゃって、エミルちゃん。これなら男共がほっておかないでしょ?」

「それがそうでもないんですよ」

 えへへと頬をほのかに赤くしてエレミールもといエミルは苦笑して言う。
 この二人に話を任せていたら先に進まないと思い、ルイはメリルに問い掛ける。

「それより、メリル。なぜこんなところにいるんだ?」

「レイドに行かされたのよ。賞金首つれてこいってね」

「じゃあ、賞金首つれていったら帰っちゃうの?」
 メリルは綺麗な微笑みを浮かべて返事をする。 聞いていたエミルは残念そうな表情でメリルに聞いた。

「ん〜ううん、メリルちゃんやルイと話してから帰ることにするわ」

 メリルは暫らく悩んだすえ、エレミールの方を向き笑顔で答える。
 エレミールは満足そうな表情でメリルを見てから、こっちを見ていたルイに視線を向ける。それに気付いたルイは視線を外して、壊れた玄関へと歩いていく。

「何処に行くの?」

「町の南にある酒場に行ってるから、後でそこにこいよ。それと、二階の奥の部屋に女性がいると思うから介抱しといてくれ」
 ルイはそう言い残し、ここから去って行った。 エレミールはルイの背中を優しい表情で見送り、思う。いつものルイの表情に戻ったことを素直に喜べない自分が心の中にいた。ここまで虐殺してしまったのを止めさせることや防げなかったことに。
 エレミールの表情に影がさしたことに気付いたメリルは優しく静かに抱き寄せた。
 エレミールは突然のことに頭がついていかず、あたふたしていると声がかかる。それはとても安心する声だった。

「大丈夫よ。どんなことがあっても信じてあげなさい。それも一つの強さよ」

 エレミールを体から離し、微笑んで言うメリル。
 エレミールはその言葉を受け、瞳に強い意志を宿し頷く。

「それじゃあ、後片付けして酒場に行きましょうか」

 そういい二人はこの出来事の後始末をしに行った。
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