雪人
 吐き捨てるように紡がれた言葉に人語を理解できない赤狼だが、今の言葉に自分に対する罵倒を言われているのだと解釈できたみたいだ。
 鼻息を荒くして足に力を入れ、先ほどまでとは違い格段にスピードが良くなってルイめがけて飛び掛かっていく。
 それを冷静に見つめ、素早く氷を1mのロングソード位の長さに形づくる。ひんやりと冷気を放っている氷剣を飛び掛かってくる赤狼に剣先を向けた。

 ドンッと地面に爪を叩きつけた音が響く。草に隠れた地面の砂が舞い上がり、煙のように漂っていた。舞っている砂煙は突然吹き付ける風に拡散し消えていく。消えた砂煙の中にはルイがいないはわかっていたのか辺りをギラギラと赤い瞳で探っている赤狼。ヒュッと空気を裂く音が後ろ上空から聞こえ、赤狼は前方へと素早く飛ぶ。先程赤狼がいた場所には氷の柱が出現しており、その周りの草や地面が凍り付いている。少しでも動作が遅れていたら氷の柱のように赤狼が氷のオブジェに成っていただろう。
 ルイは氷の柱の傍で、じっと赤狼の動きに注意を払いながら思考していた。頭が大きくなった分頭脳も少しは発達しているから今のを避けれたか。普通のレッドウルフならさっきの一撃で終わっている。それに、反応速度が速い上にタフときてる。やっかいな相手だなと思うも、余裕の表情がルイには見られる。
 赤狼はルイの様子を伺っていたが、痺れを切らしわけのわからないの行動をする。大きな口を目一杯開いた。その一連の動作を見ていたルイは意図が掴めなかったが、目一杯開いた口から熱を放つ球体が徐々に形成されることでさっきの行動の意図がわかった。が、それ以上に驚きを隠せない。レッドウルフが火球を放てれるなんて初めて見たからだ。突然変異だと思っていたのに考えが一変した。人工的に作られた魔物ではないかという考えに…
 高温を発している大きな火球がこっちに向かってくるのに一旦考えるのを止め、脚部に力を込めて横に跳ぼうとした。が、頭にここが森の中だという事が過る。自分が避けてしまったら、そのまま火球は森を焼き払いながら突き進み、辺り一帯火の海となってしてしまう。それは避けなければいけないと思い、脚部に込めていた力を散漫させた。迫ってくる火球に向けて手を前に突き出し、瞬時に呪文名を紡ぐ。

< 98 / 216 >

この作品をシェア

pagetop