妖恋
「妖狗、私はいつもあなたに助けられてばかりで私はあなたに何もしてあげられていない」
少女の言葉に妖は首を横に振った。
「雅嬢・・・・あなたは僕になにもかも与えてくれた。
それは一生掛っても返しきれないもの。僕はあなたに恩返しがしたい。そしてあなたをずっと守っていきたい。あなたが僕の傍にいてくれるだけで僕は満たされる。だから、
どうか何もしていないなんて言わないで・・・
僕の僕だけのお姫様」
月の明りに照らされながら歩を進める。

「こんな私にそう言ってくれるのはこの世であなただけ、
でも、あなたは私以上につらいはずなのに無理をして笑っていてくれる。
あなたが壊した彼とだって仲が良かった。なのに、私のせいであなたは彼を壊さなくてはならなくなった・・・・」
先程壊された者はもともと道中、道案内をしてもらった案内人だ。
だが、そいつははなから少女を狙って近づいたのであった。しばらくは気のいいただの案内人のフリをしていたが今宵、欲に狩られて牙を剝いた。少しの期間旅仲間であった彼に
妖は愛想良く接した。そのうち意気投合するが牙を剝いた彼に妖は冷酷にも裁きを与えた。


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