ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
例えば。

わたしが設計課に配属されていなかったら。

ヒロくんとわたしはつき合うことはなかったのかな?

ヒロくんは別な女の子とつき合っていたら、今頃その女の子と結婚していたのかな?

最近そんなことを考えるようになった。

もし、ヒロくんが今よりも大きな幸せを掴む人生を歩んでいるはずだったなら……

謝っても謝りきれない。




翌日、朝早く、社長室に呼ばれた。

そんな予感はしていたので別に驚くことはなかった。


「そろそろ返事を聞かせてくれないかね」


社長はわたしの思いつめた顔を見てよほど気分がいいのだろう。おもしろがるように訊いてくる。

社長と会うときぐらい、顔に出ないように努めているのに。

むしろ余裕の笑みを見せてやりたいけれど。

自分の勤めている会社のトップの人間の裏の顔をまじかに知ってしまった今、穏やかな表情はとてもじゃないけど作ることはできない。

苦手意識がすっかり根付いてしまったわたしにとって、この状況は明らかに不利。

形勢逆転の兆しはまったく見えなかった。
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