ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
「点滴、あと30分以上かかると思うから。あとはお二人でごゆっくり」


最後に世良課長がそう言い残し、部屋を出て行った。

残ったわたしたちは、というよりわたしは照れくさくて、ヒロくんに話しかけるきっかけが見つからない。

ゆっくりと落ちていく点滴の薬剤をちらちらと見つめながら、早く終わらないかなあとひたすら思っていた。


だけど、ヒロくんは対照的に落ち着き払って、いつも通りに笑顔を零してくる。


「気分は?」

「……うん」

「『うん』じゃわからないだろ」

「もう元気」

「言葉と態度が正反対なんだけど」


だんだんと変貌していく、これは会社の顔のヒロくん。

二人きりでもわたしをじりじりと追い詰める。

仕事のときはもっとすごいんだから。

わからないことがあるならなんでちゃんと確認しないんだ、思い込みで仕事をするなと、ヒロくんにわたしはいつも怒られていた。

これが当時入社2年目の人間が言うセリフなのだから。

ヒロくんて、只者ではない。
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