ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
そんな楓ちゃんが就職後になかなか会社に慣れなくて悩んでいたとき、わたしという友達ができたとうれしそうに話してくれたと、そのときのことを思い浮かべているのかな、理事長は目を細めて言った。

よほど楓ちゃんがかわいいんだろうな。

死んだ息子さんが残してくれたかわいいお孫さんだもんね。


「夏帆莉さん、ありがとうございます。楓から夏帆莉さんのお話しを聞いたとき、ほっとしたんですよ」


うわわ、お母様まで……。

ヒロくんのことを話しに来たのに。この雰囲気だととても言い出せそうにないなあ。

理事長とお母様にあまりにも感謝されて、どうしようもなくなってうつむいてしまった。

残り少ないクリームシチューのお皿を見つめながら、こんなやさしいお母様を裏切ってしまうのだと辛くなる。

たぶんこの人たちは、わたしがヒロくんの彼女だということを知らないんだ。


だけどそこで。

見兼ねた楓ちゃんがわたしの代わりに縁談の話しを切り出してくれた。


「おじいちゃん。今日はね、大切なお話しがあるの。そのために夏帆莉ちゃんをお呼びしたの」


楓ちゃん……どうしてそんなにあなたはやさしいの?

わたしは恋敵なのに。

でも一緒に食卓を囲んでみて、その理由がわかった気がする。

本当に素敵な家族だから。だから楓ちゃんがまっすぐな女性に育ったんだってことを。
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