【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




「いやいや、私は君と友好関係が築きたいだけだよ。
 
 誰も不幸にならない、
 そんなベストな関係を」



何処がベストな関係だ?


全て、俺の足元を見た物言い
怒りすら感じる。




「恭也君、そうだった。
 例の音楽教室で働いている結城神楽だったかな……」



祐天寺のその言葉に、
俺は一気に凍り付く。



「わかった。

 わかったから、
 彼女には手を出さないでくれ」



「……そうかい……。
 君ならそう言ってくれると思っていたよ」





不気味さを含んだ静かな声を残して、
祐天寺の電話は切られた。




畜生。



電話の為に立ち寄っていた
公園の壁に向かって、拳を打ち付ける。






何やってんだよ。


俺は……。





大バカ野郎だ。
こんなことなら、とっとと
神楽さんを奪っておけばよかった。



俺の独占欲に満たしてしまえばよかった。
どんな強引な手掴んでも。




打ち付けた拳は、次第に感覚が麻痺していく。


それでも打ち続けて、
ふらふらになった俺は、
反動のままに公園に倒れ込んだ。



倒れ込んだ公園で
大の字なってただ……声を出して笑い続けた。




自らの愚かさを嘲笑うかのように。




父の計画(ゆめ)は、
確実に俺に未来に闇を落とそうとしていた。


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