【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】



『おめでとう』






ただ一言、絞り出すように告げて
文香に支えられるように
恭也の前を後にした……。






ロビーまで落ちた途端、
体の力が一気に
抜けてしまったかのように
ストンと体が重力に逆らえきれなくて
崩れ落ちる。




「神楽?」



文香の声が
少しずつ遠ざかる。







サヨナラ?








もう終わりなの?







私のこの想いも、
愛の夢も?









恭也が
居ない世界……。






それを考えただけで、
この身は
切り裂かれそうなのに……。






いっそ……
このまま貴方のが近くに居る前で
全てを終わらせることが出来たら
私は、何時までも貴方の心の中に
残ることが出来るの?







そんなことを考えながら
目を閉じた。




 




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