【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




だけど手掛かりは何一つ得られなくて、
彼女を探し続ける俺があまりにも怪しすぎたのか
心配をかけてしまったのか、
警察にすら職質される始末。



哀れな大馬鹿者だと
思うやつは思ったらいい。



その通りだから……。






「「恭也っ!!」」




あまりに不安定な俺自身を
保護しようと試みていた警察官の前に
雄矢と勇生の姿が割り込む。




「すいません。
 後は俺たちでやりますから。

 ご迷惑おかけしました」





雄矢はそのまま警察官に
謝罪して対応をスマートにこなしていく。



勇生は俺の傍で、
無言のまま目だけは『何やってんだよ』と告げる。



俺たちが居る歩道側にハザードを
点滅させながら横付けされるリムジン。



「もうお兄様。

 突然すぎますわ。
 どうぞ、皆様お入りになって」



そうやって姿を見せたのは、
雄矢の妹、恋華さん。




「ごめんなさいね。
 裕真(ゆうま)の塾の帰りなのよ」


そう言うと、大人びた子供は
俺たちに会釈をすると、
鞄の中から取り出した読書を始めた。




その日、恋華さんに連れられて向かった
伊舎堂の屋敷で、
神楽が、飛行機に乗って移動したことがわかった。


飛行機で向かったの関西方面。




勢いで、関西に飛ぼうとしていた
俺に向かって、恋華ちゃんの鋭い言葉が突き刺さる。


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