【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】



「真人君は心配しなくていい。
 神楽さんの奥の部屋で眠ってる。

 神楽さんも、もう少し休まなきゃ。
 朝まで、俺が真人君は見てるから」



そう言うと、
そのまま私をもう一度ベッドへと横たわらせた




「恭也君……有難う……。
 拒絶しないでくれて」



掛布団を引っ張り上げながら、
目を合わせることなく
紡ぐ言葉。



そう紡いだ私に、
優しく触れてくるその指先。




心地よさを覚えながら、
自制するように払いのける。





この優しさに
溺れるわけには行かないの。




今も十分、
甘すぎてしまっているけど
彼には、
自分の家庭があるんだから。





再び交わる時間は
残酷なまでに優しくて
弱い私の心を私自身に突き立てる
諸刃の剣のようで
恭也君の優しさを感じながらも
溢れだす自分の気持ちを抑え込むのが
辛い、そんな時間だった。









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