【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】


それが真人にとっての
希望になるなら、
そう言い聞かせたい言葉。


だけど……その言葉に、
不安を感じる心。


そんな葛藤を抱えながら、
病室からマンションに帰って来た
手術前日。


いつものように私の部屋を
訪ねて来た恭也のお母さんは、
ご飯の支度をしながら告げた。




『恭也に聞いたよ。

 神楽ちゃんがバカ息子の夢を
 叶えてくれるって。

 一度でもいい。

 馬鹿な息子に、一日だけでも
 あの子のお父さんになることを夢見させてくれて
 有難う』




お母さんにまで言われて、
その遊園地の時間の意味の重さを知った。




真人の手術当日。




真人は自分の足で、
浦和さんと一緒に病室を歩いていく。


沢山の動物が壁に描かれたそんな廊下を抜けて、
入っていくオペ室。


真人が消えた後は、
オペを受けている家族たちが待ち続ける
それぞれの名前をかかれた
待合室の個室へと看護師さんによって
誘導された。



一人で待ち続けると思ってた個室に
ノックをして姿を見せたのは、冬君。



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