【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】













「おぉ、来た来た。
 トリオ。

 やっぱり合コンって言ったら、
 お前たちが居ないとな」




そうやって、俺達三人を手招きしたのは
高校時代のクラスメイトで、
米盛克己(よねもり かつみ)。




「悪いな。急に呼び出して。
 麗子に急に声かけられて」




そう言って、声をかけたのは
最初に勇生に電話をしてきた
今回の首謀者。




迫水誠(さこみず まこと)。




って、誠……
悪い、その前に麗子って誰?



言い出したい疑問を
口にするタイミングが掴めない。




「よっ、久しぶりだなトリオ。

 三人揃って、医学部はどうよ?」




最後に声をかけたのは、
栗花落琥太郎(つゆり こたろう)。



すぐに読めない苗字と
古風な名を持つ、
俺らと同じ、
強制呼び出し人数の一人。
 






一通りの挨拶が終わると、
そのまま、合コン会場の準備の為に
お店の中に入る。





流石に……まだ、
女の子たちは誰も来てないな。






女の子たちとの待ち合わせ時間よりも、
30分早く呼び出されてるんだから。





店内に入ると、
とりあえずテーブルについて
着席する。





「何?

 恭也、その溜息?」


「勇生……帰っていいか?
 
 合コンなんて、
 俺は苦手なんだって」


「恭也は今……神楽さんが居て
 幸せかも知れないでしょ。

 んで俺も、美雪が居て幸せ。

 雄矢にしたって、
 ほら……あのハーフの子。
 リズちゃんだった?

 いるから幸せでしょ」



そう言って切り出す勇生。




「うへぇー、
 お前ら……トリオは、
 売約済みかよ。

 それ、気づかれるなよ。
 女の子たち、萎えるから」



なんて会話に割り込んできたのは、
克己。

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