【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】




「克己、それ……お前に返すから。

 売約済み以前の問題。
 お前、女の子たちにがっつきすぎで
 最初にドン引きされるの
 やめたら?」



だんまりを決めてた、
琥太郎のキツイ一発。




それには流石の、克己も反省したのか
少し大人しくなった。





そこに店内のドアが開く。





カランカラン。


音が鳴った方に視線が集まる。


入ってきたのは、
女の子の4人組。




ふんわりと茶色の巻き髪をした
女の子と、ショートボブな髪型の女の子。


夜会巻風にアップした女の子に、
ストレートの髪をおろしたままの女の子。




4人は楽しそうに
会話をしながら
俺達の方に近づいて来た。






「こんばんは。誠」





そう言った、
ふんわり巻き髪の女の子。





「麗子、
 その4人が今日のメンバー?」

「後、二人。
 
 先輩と、
 先輩の友達が来てくれるはずなんだけど……」




そう切り返す麗子さん。






って、今日の合コン
どんなメンバーなの?




何も聞かずに来てる俺らって
浮きすぎるだろ。




内心毒吐きながら、
後、二人の到着を待つ。



再び、音を立ててドアが開く。






ドアが開くものの、
その女の子は、
なかなか姿を見せない。




あの子のメンバーなのかな?





まぁ、どうでもいいけど。




早めに、会場から抜け出すこと考えないと……。



俺の思考は、
合コンから少しでも早く抜け出すための
シュミレーションが脳内で始まってる。




時間は……待ち合わせ時間を
告げようとしていた。





「いらっしゃいませ」



スタッフの声に、
現実に引き戻された俺は、
声が聞こえた方に顔を向ける。


『あっ……。

 まだ友達が来てなくて……』



必死にスタッフに説明しようとしてる、
女の子を見て、
俺は……固まった。


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