【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】

7.最初の夜 - 神楽 -




あぁ~、
なんか……ふわふわしてる。



体がカーって熱くなってきて、
心臓がバクバク
いってるのを自覚する。










ヤバっ。









お酒……あんまり強くないのに、
やっちゃったよ……。






うぐっ……気持ち悪っ。



吐きそう……。







慌てて口元を両手で押さえると、
トイレの方へと
一人駆け込む。











便器に顔を向けて、
胃の中のものを一気にぶちまける。







……何やってんだろう……。








口の中がマズイ。








便器に顔を向けて、出せるだけ出し終わると
水で流して洗面所の方へと向かう。




水道の蛇口を捻ると、
口の中をゆすいで、
その場で崩れ落ちるように
もたれかかった。










……もう帰ろう……。



こんな体調だもん。



文香だって、
抜けさせてくれるよ。





自分に言い聞かせるように、
何度も心の中で呟くと
洗面所にグイっと力をいれて、
体を持ち上げる。






鏡に映る私は、
髪もボロボロ。




メイクもぐだぐだ。




服装だって……ときめく要素ゼロ。





虚しくなるような姿の私が
そこには映し出されてた。





帰ろう……。






今もまだ、ふわふわしてる体を何とか
足で踏ん張ると、
ゆっくりと女子トイレのドアを開ける。








千鳥足気味の、
ふらつく体を壁伝いに支える。





「神楽さん、大丈夫?」






そこには……
あの恭也君が立ってた。






どうして?




恭也君は、あの祐天寺って子が
必死にアプローチしてたじゃない?



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