【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】






五分立たずして到着したタクシーに、
彼女を支えながら乗り込むと、
そのまま俺の家へと急いだ。






家の前では、
親父とおふくろがすでに待機していて、
タクシーから降りた彼女を支えると
医院のほうへと連れて行く。




支払いを済ませて家の中に入った俺は、
手洗いを済ませて、荷物を部屋に放り投げると
彼女の居る医院へと顔を見せた。





「親父、おふくろ」





診察室から出てきた二人を呼ぶ。





「大丈夫だ。
 応急処置も早かったみたいだな。

 彼女から聞いた……。

 今日はゆっくりとここで休んでもらおう。
 二階を使え」





二階は少ない入院スペース。

二つしかないベッド。




「さぁ、行こうか」




診察室の中にいる彼女を連れて、
前に彼女を泊まらせた病室へと
誘導する。





ベッドに潜り込んだ彼女は、
俺の手をギュっと掴みながら、
睡眠導入剤と安定剤の効果もあって、
そのままゆっくりと眠りの中に
誘われていった。






寂しそうな目をした
彼女が気になって仕方なかった。






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