砂のオベリスク~第七大陸紀行~
カゲロウ〜貪る渦〜
しめやかな葬送にひたっていたかったが、次には、私はカゲロウのいた辺りをしきりに踏んでいた。
靴がわずかに沈むが、せいぜいそれだけだ。
「どうなっているんだ。俺は平気なのに、どうしてあのカゲロウは沈んだんだ」
「何かあるんでしょうね。匂いがきつくなってきたわ。どうにも、穏やかじゃないわね」
「穏やかじゃないって、どんな……」
突然、息ができなくなった。かと思うと、何か強い力で、後ろ向きに引っ張りまわされた。
視界が流れる。
目は開いていたが、何を見ているのか分からなかった。
どうにか天地の確認ができるころには、私はエンに後ろ襟を掴まれて、珊瑚の木の枝に腰掛けていた。