砂のオベリスク~第七大陸紀行~
「やあ、何度も悪いね」
「ごめんなさいね、乱暴になってしまって。でも、とても危険だったから」
見晴らしを楽しむ間も無く、低く太い音が林に響き渡った。
大地が小刻みに震え、それが珊瑚の木々に伝わる。私の皮膚もぴりぴりと痺れていた。
青白い砂が跳ねて、地面に様々な模様を描いては消していく。
「以前、『楽帝』と称される人物が指揮する交響楽団の公演を観たことがあるんだ。
初めの曲がティンパニの、さざ波みたいなロールから入るんだが、そのときの張り詰めた感じを思い出すよ。
破裂するような馬鹿でかい音が鳴るのが分かっているのに、それがいつなのか分からず落ち着かない……」
「私は音痴だからそういうの分からないわ。
とりあえず離れるわよ。何かが地の底で動いているのは間違いなさそうだから」
再び首がしまり、視界がうねった。