砂のオベリスク~第七大陸紀行~
エンは枝から枝へ跳び移っているようだった。
自分より重いものを片手で握り、それでも、軽々とやってのけていた。
私への負担が大きい。
エンが跳び回っている間、全く息ができないのだ。一瞬とはいえ意識が飛ぶこともあった。
だから、短い周期で休憩をとらなければならなかった。
次々と珊瑚が砂に沈み、倒れていこうとも。
「加速度的な崩壊だな。林が丸ごと沈没するんじゃないか」
「そろそろこの木もまずいわ。いくわね」
砂漠は、詮を抜いたように一点へ向かって流れていた。
飲み込まれるかたちで、珊瑚が倒れていく。
ありえない規模の穴が出来はじめていたらしい。
ぼきりと折れた桃色の残骸が、為すすべ無く流され消えていく様は、大渦に捕まった小船にも見えた。