砂のオベリスク~第七大陸紀行~
足の無い大天使
「それは……」
「銃ね」
金属には見えない柔らかな薄黄色をしていて、優雅な風の流れを模した装飾を施され、およそそうだとは思えなかったが、各部にそれらしいものを見ることができた。
背筋を伸ばした鳥のシルエットをした撃鉄と、子供の手には余る床尾、そして、重たそうな引き金。
銃の中心、回転式の弾倉にあたる部分には、夜空を溶いたような紫紺の液体に満たされた瓶が嵌められていた。
照門や照星といった、照準を合わせるようなものも見当たらない。
銃口も無い。
銃としては、まったくの出来損ないと言うほか無かった。