はだかの王子さま
「そして、何より。
 俺は、お前に幸せになって欲しいからな。
 いきなり、自分の命を賭けるほど、桜路に尽くせ、とは言わない。
 だが、桜路のために、今までの生活を全部捨てても良いぐらいの覚悟があるか?」

 もし、何の覚悟もないなら、桜路と一緒にいてはダメだ。

 今回だけは、桜路に黙って、家を出て、守野の家で賢介に守ってもらった方がいい。

 なんて、お父さんは言った。

『今回だけ』

 お父さんは、そう言ったけど。

 もし、今。

 ここから逃げだしたら……きっと、もう、わたし星羅と一緒にいられない。

 それは、予感だけじゃない。

 仮にも星羅が『王子さま』だというのなら、こんなことは一杯あるに違いないから。

 星羅と一緒にいたいなら。

 そんなことも含めて、考えなくちゃいけないんだ。



 ……でも。



「わたしは、星羅が、好き」


 うん。


 それは、大丈夫。


 変わらない。


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